RPA初心者向け講座

シナリオの汎用性(最終回)

2023年2月12日

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RPA初心者向け講座
RPA初心者向け講座

RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、これまでに人間が手作業で行っていた業務をソフトウェアのロボットに任せ、自動化していく技術のことです。この講座では、RPAの初心者さま向けにWinActorに関するシナリオの作り方やデータ設定の原理について説明。

第1回 RPAとは何か?
第1回 RPAとは何か?

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、手作業で行っていた業務をソフトウェアのロボットに任せ、自動化する技術です。エクセルを使用して日々の事務を進めておられる方が多いので、作業を自動化で飛躍的に効率が上がります。

第2回 エクセル操作
第2回 エクセル操作

Excel 操作(値の取得)は、エクセル上の情報(データ)をWinActorに「取得」し「変数の設定」で予め指定した変数に取り込む操作、Excel 操作(値の設定)は、WinActorの変数に保管されている情報をエクセル上に書き込む操作です。

第3回 繰り返し操作とカウントアップ
第3回 繰り返し操作とカウントアップ

「繰り返し操作」とは、同様の作業を繰り返し実施したい場合に、事前に繰り返す回数などを指定してその回数分を実施するための操作です。ロボット(パソコン)による単純作業の自動化には欠かせない操作です。カウントアップとペアで使います。

第4回 配列操作の基本
第4回 配列操作の基本

「配列」は、変数の箱を並べたイメージで考えるとわかりやすいと思います。一直線に並べたものが「1次元配列」、平面的に並べたものが「2次元配列」です。1次元配列の場合、自動的に「配列[1]」「配列[2]」「配列[3]」・・・と番号を振ってくれます。

第5回 配列操作の応用
第5回 配列操作の応用

配列操作の応用でセル座標情報を配列に取り込み、コンピューターに覚えさせます。後から実際のデータを自動的に拾いに行くときに便利だからです。配列はインデックスで管理するので、簡単に大量の情報をコンピューターに覚えさせることができます。

第6回 エクセルファイルの自動開閉
第6回 エクセルファイルの自動開閉

多数のエクセルファイルを自動集計するためには、自動的に開いたり、閉じたりすることが必要不可欠です。ファイル名を個別に指定せず、RPAが自動的に順次エクセルファイルを開くと汎用性が高まります。「ファイル一覧(ファイル名)取得」を活用します。

第7回 2次元配列操作
第7回 2次元配列操作

WinActorの2次元配列のイメージは、正に縦横の平面上に箱が並べられているイメージです。エクセルシートとよく似ていると思いませんか?この特徴をシナリオ作成に活かします。2次元配列の割り当てイメージを考えます。エクセルシートと全く同じです。

第8回 セル位置の情報取得
第8回 セル位置の情報取得

エクセルの自動集計に関するシナリオ作成について詳しく説明します。まずは、冒頭の「2次元配列操作(初期化)」及び「グループ:セル位置取得」に関するシナリオ作成について説明いたします。 「グループ」のボックスを設置し、各工程ごとにわけて整理します。

第9回 全情報の取得シナリオ
第9回 全情報の取得シナリオ

全ファイルデータ取得について説明します。各テレワーク報告書から情報を取得し、配列情報として保管します。ポイントは「ファイル一覧(ファイル名)取得」で取得したファイル名を用い、これを「Excel開く(前面化)」を使って開くところです。

第10回 全情報の設定シナリオ
第10回 全情報の設定シナリオ

全ファイルデータ設定について説明します。ポイントは、エクセルシートと2次元配列の構成が類似してるところを応用した情報処理です。2次元配列上での割り当てイメージ図で要確認します。最後に「Excel操作(名前を付けて保存)」で書き込みが完成です。

第11回 全シナリオの総括
第11回 全シナリオの総括

変数の初期値は自分で設定します。その整理はシナリオの最終確認として極めて重要です。ミスの見落としを防ぐために、工程のグループごとに大別し、初期値設定の要否で区別することで見やすく再配置することがお薦めです。エラー発生の最大の原因は変数設定の誤りです。

第12回 シナリオの汎用性(最終回)
第12回 シナリオの汎用性(最終回)

新しい課題にチャレンジするにあたり、変数の初期値設定等を少し変えるだけで、これまでに作成したシナリオ操作の骨組みをそのまま活用できることをご紹介いたします。このシナリオの汎用性の高さを実感してくださいませ。シナリオ自体の構成は何も変更する必要はないのです。

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RPA初心者向け講座
第1回 RPAとは何か?
第2回 エクセル操作
第3回 繰り返し操作とカウントアップ
第4回 配列操作の基本
第5回 配列操作の応用
第6回 エクセルファイルの自動開閉
第7回 2次元配列操作
第8回 セル位置の情報取得
第9回 全情報の取得シナリオ
第10回 全情報の設定シナリオ
第11回 全シナリオの総括
第12回 シナリオの汎用性(最終回)
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新たな課題

 今回の講座では、全く新しい課題にチャレンジするにあたり、変数の初期値設定などを少し変えるだけで、これまでに作成したシナリオ操作の骨組みをそのまま活用できることをご紹介し、このシナリオの汎用性の高さを実感いただきたいと思います。

 さて、ゴーヤンの知り合いは、中国語検定試験3級合格を目指す講座の講師を担っており、300名分の模擬試験結果を一覧表に集約し、受講生の皆さんの理解度などを詳細に確かめたいと思っています。そこで、今回は、これまでに作成してきたゴーヤンのテレワーク報告書を一覧に集約するシナリオを活用して、この知り合いの課題に取り組みます。

 中国語検定試験3級・模擬試験の解答用紙は以下のとおりです。この講座の模擬試験では、オンラインの模擬試験を実施することで、ペーパレス化を図っており、受講生はエクセルシートに準備された解答用紙に書き込むスタイルとなっているものとします。なお、シート名は「Sheet1」とします。

 第8回のセル位置の情報取得【シナリオ作成(1)】で勉強したとおり、データを読み込む対象となるファイルのセル座標の確認が重要です。そこで、解答用紙の上から順番に受講生が書き込む欄のセル座標を確認すると、次の表が示す通り、受験番号「J2」、氏名「L2」、リスニング問1(1)「D6」、(2)「E6」、(3)「F6」、・・・という感じとなっています。

模擬試験解答用紙ブランクフォーム
ブランクフォーム・セル座標入り

 次に集計する一覧表については、以下の表のように、受講生ごとに1行ずつ全ての解答情報が一覧として表示されるような表を準備します。

中国語検定試験3級・模擬試験結果【一覧表】

 この一覧表のブランクフォームを用いて、セル座標ファイルを以下のように作成します。

セル座標ファイル

 以上で、新たな課題に関する事前準備は完了です。シナリオの確認と変数一覧の設定に進みましょう!

シナリオの確認

 さて、シナリオの確認ですが、今回の新たな課題については、集計対象とするファイル数が300名分とかなり多い上に、解答項目も多数ありますので、一見すると、ゴーヤンのテレワーク報告書の場合とはかなり条件が違うような気がするかもしれません。しかしながら、実行したいと考えている本質的なところに着目すると、「複数枚存在する対象ファイルに記載された情報を一覧表に集約する」ところは全く同じです。

 したがって、シナリオ自体の構成は何も変更する必要はないのです。そのまま使えます。これまでに作成したシナリオ全体を念のため確認しておきましょう。

シナリオ全体
グループ:セル位置取得
繰り返し:列移動のシナリオ
グループ:全ファイルデータ取得のシナリオ
グループ:全ファイルデータ設定のシナリオ

変数一覧の設定

これまでに作成した変数一覧

 第10回の全シナリオの総括【シナリオ作成(4)】において説明したとおり、上記のシナリオに関する変数一覧は以下のとおりです。赤枠は、必要な初期値の設定箇所です。

これまでに作成した変数一覧

新たな課題に対応した変数一覧

 フォルダ・ファイルに関する変数

 フォルダに関する変数「テストフォルダ」、ファイルに関する変数「セル座標ファイル」「集計表ファイル」「集計結果」について、各変数名を直す必要はありません。そのまま使えます。ただし、初期値については、それぞれ対応するフォルダやファイルについて保管されている正確な場所と名称をきちんと設定する必要があります。この項目で重要な点はこれだけです。

 配列に関する変数

 配列に関する変数「配列」「配列R」「配列C」については、「配列R」の初期値のみ、変更が必要です。今回の集計表のフォーマットをもう一度、ご覧ください。情報を書き込む行は、「6行目」からとなっています。つまり、「配列R」の初期値を「6」と設定します。

中国語検定試験3級・模擬試験結果【一覧表】
 セル位置に関する変数

 セル位置に関する変数「セルの行」「セルの列」については、「セルの行」の初期値のみ、変更が必要です。今回のセル座標ファイルをもう一度、ご覧ください。情報が書き込まれている行は、「6行目」となっています。つまり、「セルの行」の初期値を「6」と設定します。

セル座標ファイル
 ファイルカウンタに関する変数

 「ファイル一覧(ファイル名)取得」操作で、同じファイル名称を取得せずに次々とファイル名をさせるために必要な変数が「ファイルカウンタ」です。設計上、初期値には必ず「0(ゼロ)」を設定しますので、変更はいりません。

 集計表のシート名に関する変数

 今回も集計表ファイルのフォーマットを作成する際に、シート名を「一覧」とするならば、特に変更はいりません。お好みで設定してください。

 初期値設定の必要がない変数

 変数「指定セル」、「取得情報」、「対象ファイル数」、「開くファイル」、「管理」及び「種別」の計6つの変数は初期値設定が不要です。したがって、そのまま使えます。

 新たな課題に対応した変数一覧

 新たな課題に対応した変数一覧は、以下のとおりです。初期値設定を変更したところは朱書きで記しています。

新たな課題に対応した変数一覧

シナリオ操作ごとのプロパティ画面の点検

 第10回の全シナリオの総括【シナリオ作成(4)】において、集計表のシート名に関する変数について説明する際に、シート名に変数「一覧」をあえて使った理由を申し上げたと思います。

 つまり、プロパティ設定の際に、「値⇒一覧」としても大丈夫な訳ですが、実は、ほかの用途に転用したりするときに、変数を使わずに「値⇒〇〇」を使うと、シナリオ操作ごとに一つ一つプロパティ画面を開いて確認する作業が発生します。これは、面倒ですよ。したがって、「できるだけ変数を使う習慣をつけていただく観点から変数を用いた設定を使っています。」と説明させていただきましたが、ここでその必要性を実感いただけるものと思います。

 できるだけ変数を使う習慣をつけていただくことを推奨しているのは、シナリオ作成が出来上がり、実際に起動させて動かす前に、エラーがないかどうかを確認する必要がありますが、変数を用いれば、変数一覧の確認で、ミスに気が付きやすいことによります。そして、今回のように他の用途へ転用するときにも大いに無駄な作業を減らすことができます。

 さて、念のため、シナリオ操作ごとに一つ一つプロパティ画面を開いて確認する作業を実行していただくと、重大な点に気が付かれると思います。そうです。繰り返し操作の回数を設定する際に「値⇒〇〇」を使っています。実は、ここでの説明についてご理解いただきやすいように、あえて使っていたのです。すべて変数で設定すべきですね。

繰り返し:列移動のシナリオ

 グループ「セル位置取得」において、「繰り返し操作(列移動)」がありますが、このプロパティ設定で、繰り返しの回数について、回数欄に「値⇒16」と設定していますので、これを改める必要があります。

 中国語検定試験3級・模擬試験の解答用紙において、情報が書き込まれる箇所は、受験番号1カ所、氏名1カ所、リスニング問題20カ所、筆記試験41カ所となっていますので計63カ所です。したがって、ファイルに関する変数「セル座標ファイル」「集計表ファイル」「集計結果」について、列の移動に関する繰り返し回数は「63」です。「16」と設定されている箇所をすべて「63」に改めます。

 

 

 

 

ブランクフォーム・セル座標入り

 グループ「全ファイルデータ取得」にも列の移動を行う繰り返し操作があります。「繰り返し操作(情報更新)」です。このプロパティ設定で、繰り返しの回数について、回数欄に「値⇒16」と設定していますので、これを改める必要があります。

 まだあります。グループ「全ファイルデータ設定」においても列の移動を行う繰り返し操作があります。「繰り返し操作(情報設定)」です。このプロパティ設定で、繰り返しの回数について、回数欄に「値⇒16」と設定していますので、これを改める必要があります。

 

 これらの確認作業がなければもっと簡単でしたね。「変数を作って回数設定をしておけばよかったなあ~」と思いませんか?ぜひ、変数にて設定する習慣をつけてくださいませ。

 いずれにせよ、このシナリオの汎用性の高さが確認できました。類似の集計作業であれば、上述のとおり、シナリオをそのまま活用することができるだけではなく、変数一覧において少し初期値を変更するだけで使える訳です。

 

終わりに

 RPA初心者さま向け講座は、今回で最終回とさせていただきます。第1回からご覧いただき、誠に有難うございました。

 WinActor を活用し、今まで人間が手作業で行っていた業務を自動化する方法はいろいろ考えられますが、実務的に幅広く利用できる方法を考慮し、多くの皆さまが「エクセル」を使用して日々の事務を進めておられる点に着目すると、その作業の自動化により飛躍的に事務効率が上がると思われるケースが多数あると考えられることから、エクセルファイルの自動集約というテーマで説明させていただきました。

 WinActor のセールスポイントとしては、プログラムなどの知識がなくても、直感的な操作を可能にして、できる限りわかりやすく設計されていることが最大のメリットとうたわれていますが、やはり、シナリオ操作ごとのプロパティ画面の設定や変数一覧を使いこなすことなどができないと、シナリオ操作を順に並べるだけでは動かすことができません。

 この講座を通じて知っていただきかったことは、「実務に役立つ観点から基本的な一定の使い方や原理を理解すれば、初心者🔰の方々でも、結構、実用的に使えるようになりますよ。」ということです。さらに、「シナリオの作成や変数設定の方法を工夫すれば、初心者🔰の方々でも汎用性の高いシナリオを作ることができますよ。」ということも合わせて学んでいただきました。

 最後に、改めて読者の皆さま方に心よりお礼申し上げます。

ゴーヤン
ゴーヤン

皆さま、第1回から第12回までの連載にお付き合いいただき、誠に有難うございました。システムを利用した事務の効率化は、これからますます進展していくと思います。初心者🔰の皆さま方におかれましても、この講座をすべてご覧いただいたときには、気が付けば初心者は卒業されておられると思います。神部龍章の部屋では、ほかにも多彩な講座のほか、歴史物エッセイなどにも取り組んでおりますので、ぜひ、引き続き、いろいろとご覧いただければ幸いです。

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