ビジネス英語トレーニング講座❸
リスニングのトレーニング法
前回、速読即解の教材として使用した「Japan-ROK Foreign Ministers’ Telephone Meeting」を用いて、今回はリスニングのトレーニング法について説明します。
前回使用した教材は以下のとおりです。
Japan-ROK Foreign Ministers’ Telephone Meeting
October 4, 2022
On October 4, commencing at 1:00 p.m., for approximately 10 minutes, Mr. HAYASHI Yoshimasa, Minister for Foreign Affairs of Japan, held a telephone meeting with H.E. Dr. Park Jin, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Korea. The overview of the meeting is as follows.
1. The two ministers strongly condemned North Korea's missile launch that flew over Japan for the first time in approximately five years as a serious and imminent threat to the national security of Japan and a clear and serious challenge to the international community. This took place in the wake of an unprecedented frequency of four launches in a week last week.
2. The two ministers concurred to continue close coordination between Japan and the ROK as well as among Japan, the ROK, and the U.S. toward the complete denuclearization of North Korea in accordance with the UN Security Council resolutions.
外務省ホームページ(英語版)Press Releases 記事より
さて、次の音声を聞いてみてください。上述の文章をネイティブ音声で読み上げます。
いかがでしょうか。前回、文章の内容については勉強しましたので、ある程度は聞き取れたと思います。前から後ろに向かって順番に内容を理解する勉強を少し進めたので、ネイティブ音声についても、完全ではないとしても、流れに沿って内容を把握できるようになっていればOKです。英語脳が少し構築されました。おめでとうございます。
一部ははっきりと聞き取れなかった箇所があったのではないと思います。理由は簡単です。まだ身についていない単語があるからです。それぞれの単語はローマ字読みを行わずにネイティブ音声に従って覚えるようにしていただくと、徐々にクリアーに聞き取れるようになります。
ディクテーションをやってみよう
ディクテーションとは?
「ディクテーション(Dictation)」という言葉を聞いたことはありますか。英語の音声を聞いて書き取るトレーニングのことを言います。音声を聞いた上で紙に書き取りを行うため、リスニング力が大幅に強化できる方法として知られています。
最初のパートに挑戦!
先ほどの音声ファイル全体では文章が長すぎて書き取りを行うのは大変なので、3つのパートに分けて聞いてみましょう。まずは最初のパートです。
いかがでしょうか。すでにある程度は、文章の内容も記憶されていると思いますので、大部分を書きとれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。すばらしい。
うまく書きとれなかった方も気にしないでも大丈夫です。何度も聞いているうちにできますので安心してください。もう一度、やってみましょう!
いかがでしょうか。少しずつでも進展すればOKです。ここで、読み上げている内容を再度確認することといたしましょう。
Japan-ROK Foreign Ministers’ Telephone Meeting
On October 4, commencing at 1:00 p.m., for approximately 10 minutes, Mr. HAYASHI Yoshimasa, Minister for Foreign Affairs of Japan, held a telephone meeting with H.E. Dr. Park Jin, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Korea. The overview of the meeting is as follows.
教材本文の第1パラグラフに挑戦!
最初のパートは、要するに「電話会合が開かれました」と言っているだけなので、聞取りも簡単ですが、ここから伝えるべき内容の説明が始まります。まずは、電話会合が開かれた理由を言っていますよね。
リスニングをうまく進めるコツとして、全部聞き取ろうとしないことです。要点だけがわかればよいので、ポイントとなる言葉に集中してください。特に、冠詞や前置詞などは別に聞き取れなくてもお話の流れを理解する上で、たいした役目は果たしていないので、気にせずにポイントとなるところに集中してください。聞こえ方が違ってきます。
いかがでしょうか。ある程度は書きとれたでしょうか。
1. The two ministers strongly condemned North Korea's missile launch that flew over Japan for the first time in approximately five years as a serious and imminent threat to the national security of Japan and a clear and serious challenge to the international community. This took place in the wake of an unprecedented frequency of four launches in a week last week.
教材本文の第2パラグラフに挑戦!
最後のパートは「電話会談で何を話したのか」というところを説明しています。日本語のニュースを見聞きしているときには、「はいはい、またいつもと同じようなことを言っていますね~」と思うようなことでも、これを英語で聞くと、なにやら大切なことを言っているような気がしてくるのではないでしょうか。
私は、何度も英語を用いた国際会議などにも出席したことがありますが、会議の話を聞いているときに、「実はたいしたことを言っていない!」ということに気が付きました。英語脳ができたからです。日本人は、誰もが英語で聞くと、なにやら大切なことを言っているような気がしてくるだけなのです。だから難しく聞こえます。気のせいです。気楽に聞き流して重要なところだけ集中しましょう!
いかがでしょうか。気楽に聞けば、先ほどよりも多く書きとれたのではないでしょうか。
2. The two ministers concurred to continue close coordination between Japan and the ROK as well as among Japan, the ROK, and the U.S. toward the complete denuclearization of North Korea in accordance with the UN Security Council resolutions.
実力をつける近道
最後に、勉強方法のまとめです。
➀自分にあった題材を見つける
まずは、題材を見つけます。最初のうちは、前回と今回の講座で勉強したように、3つのパラグラフで構成された文章で、知らない単語も入っているが、なんとなく全体がわかりそうなものを選ぶとよいと思います。
➁前から後ろに向かって単語又はフレーズごとに理解する
題材を見つけたら、普通は読むと思いますので、英文を前から後ろに向かって単語又はフレーズごとに理解することを強く意識して、読み進めてください。絶対に、途中で後ろにいったり、前に戻ったりしてはいけません。これだけは止めましょう。上達しません。英文和訳は必要ないのです。自分だけがわかればよいのです。
さらに、いちいち日本語の意味を考えるのをできるだけ止めましょう。「Japan」という単語を見たときにいちいち「日本は」とか考える必要はありませんよ。「Japan」のままでいいじゃないですか。このイメージで日本語に変換する作業を極力止めます。英語脳を作る上で、この工程は欠かせません。
➂音声教材があればリスニングで理解する
音声教材がある場合には、ここでリスニングをやってください。「英文を最初から何も見ないでリスニングのトレーニングをしなければ意味がない。」という考え方もありますが、よくわからないことに時間をかけると余計な時間がかかります。この講座では「短期間に実践的な英語能力の向上を目指す」と謳っていますので、「内容がある程度わかっているものを聞くほうが効果的かつ効率的である」として、強くこの方法を推奨します。
音声教材がない場合は、声を出して読む練習をしてください。棒読みするのではなくて、人前でプレゼンテーションを行うために、家で密かに練習するような気分で実施してください。棒読みや黙読では能力向上に時間がかかります。
④音声教材があればディクテーションで理解を深める
音声教材がある場合には、リスニングの次に「ディクテーション」をやってください。繰り返しトレーニングを進めていると「ディクテーションというのは英文の作文練習と大差ないこと」に気が付くと思います。
日本語でも一言一句を聞き取って書きとろうとするとスピードが追い付かずに書ききれないので、結局は、要点を書きとって、それをあとからつなぎ合わせると思います。英語の場合も同じです。要点を書きとってあとからつなぎ合わせると文章になるのは日本語の場合と同じです。
学校の勉強で「動詞につける前置詞が違うと意味が全然違いますので全く通じませんよ」と習ったと思いますが、それは違います。話す内容がしっかりしていれば、少々の文法上での間違いなどは気にしなくてもきちんと通じます。細かな必要のないことが原因で大事なことを聞き落とすのは「本末転倒」です。ポイントに集中しましょう!
音声教材がない場合は、読解により理解した内容を覚えている範囲で書き出してみましょう。「ディクテーションというのは英文の作文練習と大差ない」ので、作文の練習だけでも効果は十分に期待できます。
皆さま、今回も勉強、お疲れさまでした。いかがでしょうか。勉強のコツは掴めてきたでしょうか。
次回の講座をお楽しみに!